FC2ブログ

“2022”買ってよかった俺の欲望/山口 瞳「行きつけの店」

DSC_6123b.jpg
 居酒屋やレストランで普通に振る舞いたい。僕はお酒を飲むようになってからそういう振る舞いに憧れています。でもこれがとっても難しい。なんか良い雰囲気の店を自分のフィールドに引き入れようとしてしまったり、お店の人と積極的に仲良くなってみようと思ってしまったり……。安らぐ場所で頑張ろうと思ってしまううちは、「僕もまだ子供なんだな〜」と酔っ払って帰りながら反省することが2022年には何度かありました。ちょっと悔しくなって、僕は先人の酒飲み達人と思われる人たちの本を読むようになったのです。
DSC_6124b.jpg
 本を読んでいると、世の中にはそういった振る舞いができるマスター達がたくさんいて、そして自らの振る舞いや楽しみ方を文章に書いて読者の心を掴んでいくことができるというNEXTステージに登っている、登った達人がこんなにいるんだと憧れが芽生えてきます。そんな達人のひとりと僕が思っているのが山口瞳。現サントリーの宣伝部で編集者・コピーライターとして活躍した方です。
DSC_6125b.jpg
 美味い店、楽しい店を紹介しているだけなら心なんて動きません。本に差し込まれる写真と山口さんによるテキストは「酒場と時代」そのもの。それは人間が飲食を楽しむ文化の姿であり、提供する人間、受け取る人間が完全に心地よいリズムを刻んでいる様子を文字からイメージすることができます。
 山口さんが行きつけの店で見てきた文化、お店と一緒に作ってきた空気。そういうものが生まれる場所なんだよ「行きつけの店」ってね。とガツンと殴られた感じがしました。
DSC_6126b.jpg

DSC_6127b.jpg
 そしてこの本では思いっきり人生を楽しんでいる姿を見ることができます。美味いものを食い、良い空気を吸うと体もしっかりと応えてくれる。そんな当たり前のことが、隣にいるナイスな先輩のような語り口で書かれます。見た文化を心地よく伝える……。この本の中には俺が目指したい姿がありました。
 2023年に繋がる、これからの僕の人生にもすごく影響を与えてくれるであろう1冊と出会えたことに感謝です。

関連記事

コメント

非公開コメント