2022/04/02
KPモデル 1/72 ホーカー テンペストMk.Vがくれた、心の暴風

海外メーカーのプラモを楽しむ。
それは、
ちょっと旅に出ることと同義語。
まだ出会ったことのないメーカーを知る楽しみを、
ニッパーから感じてみる。

僕は初めて、KPモデルというチェコのメーカーのプラモを完成させた。チェコと言うとサッカーしか知らない僕。名選手多いんだよね。ウイニングイレブンでも大活躍してもらった。ウイイレって、好きな選手を使っていると、ステータスとは関係ない何かが発揮される気がする。コンピューターゲームにも僕らの魂が乗り移るような……あの感覚に学生時代は毎夜魅了されていたっけ。
そんなことはさておき、チェコのKPモデルだ。ヨドバシとかにも積んであるメーカーのプラモだけど、正直どんなメーカーでどんなキットを送り出しているのか分からなかったから、手にすることはなかった。でもnippperで読んだ内藤あんもさんのレビュー記事の写真をガン見して、「これイケそうだな……」と。そこでちょっとチャレンジしてみたくなった。あんもさんのレビューはいつも楽しくて、本当にプラモが作りたくなる。



ハチャメチャにツンデレなプラモだった……。最初は、キットを開ける前の不安なんてかき消すように、ぴしぴしとパーツが合っていく。しかし……機首の下にある大きなアゴのようなラジエーターパーツと胴体のパーツが何ともうまく合わない。
プラモってパーツが合うのが当たり前でしょって思う人も多いと思う。でもそんなことばかりじゃなくて、実際に作る人がパーツと仲良くなるために色々やっているなんてこともある。国内メーカーのプラモはもうそんなことはあまりないけど(そういう意味では日本は幸せだけど、パーツが合うとかそんなことだけがプラモの最高の幸せではない)、海外のメーカーでは成型精度によって、いろいろな工作が必要になることもある。
僕はそんな時は完全に合わせようとせずに(まぁ、できないんです。そういうこと)、目立たないところにパーツが合わさらないところを持っていく。飛行機だと裏返さない限り下の面は見えないから、下面に色々と粗を集約させていく。今回のテンペストもそんな風にして、形にしていった。形になってしまえばこちらの物。あとは楽しい楽しい筆塗りの時間だ。






僕は水性ホビーカラーかタミヤアクリルを使う。今回はタミヤアクリルを使用。この塗料、とてもつや消しが強いので、いつも少量のクリヤー塗料を混ぜている。透明のクリヤーだったりクリヤーグリーンやクリヤーレッドなど、色付きの塗料も混ぜたりする。そうするとガサガサしなくて良い。また普通の塗料を混ぜると、色味が一気に変わってしまうが、クリヤー塗料だと色味の変化が激しくないので、調色もしやすい。クリヤーイエローやクリアーグリーンを足しながら、いろんな緑やグレーを作って塗っていく。
紙パレットの上で適当に混ぜていくから分量などは知らんぷり。塗るたびに、近似色が表面にたくさん塗られると、表情が豊かになる。僕はその様子が大好きで筆塗りを楽しんでいる。
また今回、プラモを塗っているときに、コクピットの計器盤のパーツが入っていないことに気が付いた。まじか! と思ったが、もうパーツを入れ込むことはできない……。よく覗いてみる。コクピットの奥は暗黒。なんも見えないなら、きっとそこには計器盤はある。俺はそのまま計器盤のパーツを捨てた。


ガンプラ、タミヤ、ハセガワ、アオシマ、コトブキヤと言ったプラモの主流と一緒に並んでいる海外メーカーのプラモたち。そこにある世界とは何だろうか?
海外メーカーのプラモを作るということが、僕のプラモライフにとってある程度普通になった時に味わったチェコの味は、もう一度世界のプラモを見てみようという気持ちにさせてくれた。
メジャーじゃない(あえてここではそう言う)プラモを紹介してなんになるという人もいる。じゃぁ、なんで僕たちが大好きな模型店に、そういったプラモは置いてあるんだ。誰かが好きだから、必要だから、生み出したいからそこにあるんだ。そして内藤あんもさんのように、そのようなプラモの楽しさを共有しようとする人がいる。このようなことが今のメディアには必要だ。棚からひとつかみされたプラモが、誰かを笑顔にする。最高じゃないか。自分で買って、自分でスタイリングして、悩んで、写真をたくさん撮って、俺なりの考えでプラモの楽しさを伝えられるようになって見せる。心のどこかには暴風を。